なぜShizen Connectに27億円が集まったのか。調べてみると、「発電所を増やせばいい」という考えが変わった。

Shizen Connectの資金調達を知ったとき、私は本気でそう思いました。電気が足りないなら発電所を建てる。再生可能エネルギーが増えるなら蓄電池を増やす。それが、一番分かりやすい解決策だと思っていたのです。

しかし、Shizen Connectについて調べ始めると、その考えは少しずつ変わっていきました。

日本の課題は、「発電所が足りないこと」ではありませんでした。

本当に重要なのは、今ある電気を必要な場所へ、必要なタイミングで届けること。そのために、これまでとは違う考え方が求められ始めていたのです。

27億円という資金調達の背景には、一社の成長だけでは語れない理由がありました。

今回はShizen Connectというスタートアップを入口に、なぜ今この会社へ期待が集まっているのか、その背景を一緒に読み解いていきます。

Shizen Connectとは?27億円を調達したエネルギースタートアップ

まず調べたのは、とてもシンプルな疑問でした。

「Shizen Connectって、どんな会社なんだろう?」

社名だけを見ると、新しい電力会社のようにも思えます。しかし、実際は違いました。

Shizen Connectは発電所を保有している会社でも、電気を販売している会社でもありません。同社が手掛けているのは、太陽光発電や蓄電池、EV(電気自動車)、エコキュートなど、全国に点在する設備を一つのシステムでまとめて制御するエネルギーマネジメントプラットフォームです。

例えば、

  • 家庭用蓄電池
  • EV(電気自動車)
  • 太陽光発電
  • エコキュート
  • 工場の設備

こうした設備をクラウド上でつなぎ、電力需要や発電状況に応じて最適に制御する。それがShizen Connectの役割です。

つまり、同社が扱っているのは「電気」そのものではありません。

電気の流れを最適化するソフトウェアです。

ここまで読んでも、私の中にはまだ疑問が残っていました。

「便利なソフトウェアだということは分かった。でも、それだけで27億円もの資金が集まるのだろうか。」

その答えを理解するには、まず「VPP」という考え方を知る必要がありました。

VPP(仮想発電所)とは何か

Shizen Connectについて調べていくと、必ずと言っていいほど登場する言葉があります。それが、『VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)』です。

正直に言うと、私も最初は「仮想発電所」と聞いても、何のことなのかまったくイメージできませんでした。

しかし、仕組みを知ると、その考え方は意外なほどシンプルでした。

VPPとは、全国に点在する小さな電源をソフトウェアでまとめ、一つの大きな発電所のように制御する仕組みです。

例えば、

  • 家庭用蓄電池
  • EV(電気自動車)
  • 太陽光発電
  • エコキュート

こうした設備は、一つひとつを見れば小さな存在です。しかし、それらを何万台、何十万台という規模でつなぎ、一体として制御できれば、一つの巨大な発電所に匹敵する役割を果たせます。

これが「仮想発電所」と呼ばれる理由です。

ここまで理解しても、私の中にはまだ最初の疑問が残っていました。

「それでも、発電所を増やせば解決するのではないか。」

この疑問こそが、この記事の本当のスタート地点でした。

「電力不足なら発電所を増やせばいい」と思っていた

ここまで読んで、「VPPという仕組みは分かった」と感じた方も多いと思います。

でも、私はまだ納得できませんでした。

「それでも電力が足りないなら、発電所を増やせばいいのでは?」

電力会社なのだから、発電所を建設する。それが最も確実で分かりやすい解決策に思えたのです。

しかし、調べていくうちに、この考え方そのものが少し古くなり始めていることを知りました。

問題は「発電量」ではなく、「必要な時に届けられるか」

日本では、電気が一年中不足しているわけではありません。

むしろ、多くの時間帯では需要を十分に満たせるだけの発電能力があります。

本当に難しいのは、真夏の夕方や真冬の夜など、電力需要が一気に高まる時間帯です。

その数時間のためだけに新しい発電所を建設すると、需要が落ち着いた時間帯には十分に活用されない設備が増えてしまいます。

つまり、課題は「発電量が足りないこと」ではなく、電気を必要なタイミングで届けることだったのです。

電気は「在庫」が持てない

ここで、電気ならではの特徴があります。

それは、電気は大量に保管しておけないということです。

例えば、コンビニの商品なら売れ残れば翌日に販売できますし、自動車も工場で生産して在庫として保管できます。

しかし、電気は基本的に「使う瞬間」に合わせて発電しなければなりません。

近年は蓄電池の普及も進んでいますが、社会全体で見れば、まだ電力を長期間、大量に蓄えられる状況には至っていません。

だからこそ、電力会社は需要の変化に合わせて、常に発電量を細かく調整し続けています。

電力インフラは、「たくさん発電すること」よりも、「発電と消費のバランスを保つこと」が重要な世界なのです。

発電所を増やすだけでは解決できない時代へ

ここでようやく、VPPが必要とされる理由が見えてきました。

もし家庭の蓄電池やEV、太陽光発電を必要な時だけ活用できれば、新しい発電所を建設しなくても、電力需要のピークを支えられる可能性があります。

一つひとつは小さな設備でも、全国でつながれば、大きな力になります。

つまり、これから重要になるのは、「発電所を増やすこと」だけではありません。

社会全体に点在するエネルギーを、どう活用するか。

その発想が、これからの電力インフラでは求められ始めています。

そして、この考え方を実際の社会で機能させるための仕組みをつくっているのが、Shizen Connectでした。

なぜShizen Connectだったのか

ここまで読むと、VPPという考え方が重要なのは理解できます。

では、なぜ数ある企業の中でShizen Connectに27億円もの資金が集まったのでしょうか。

その理由を調べていくと、評価されていたのは「VPPという考え方」だけではありませんでした。

社会で実際に機能する仕組みを、一歩ずつ形にしてきたこと。

そこに、大きな価値がありました。

Shizen Connectが提供しているのは「電気」ではなく「つなぐ仕組み」

Shizen Connectは発電所を建設する会社ではありません。電気を販売する会社でもありません。

同社が提供しているのは、日本中に点在するエネルギー設備を一つのプラットフォームにつなぎ、最適に運用するためのソフトウェアです。

家庭用蓄電池やEV、太陽光発電、エコキュートなどは、それぞれメーカーも仕様も異なります。もし設備ごとに別々の仕組みで管理していては、社会全体を効率よく動かすことはできません。

だからこそ、それらを一つのシステムで連携させる共通基盤が必要になります。Shizen Connectが提供している価値は、「電気」を増やすことではありません。

さまざまなエネルギー設備をつなぎ、社会全体で活用できるようにすること。

そこに、この会社ならではの強みがあります。

評価されたのは、未来の構想ではなく「社会実装」の実績

スタートアップには、魅力的なビジョンを掲げる企業が数多くあります。

一方で、社会インフラは「良いアイデア」だけでは変わりません。

実際に動き、安全性を証明し、多くの関係者に受け入れられることが必要です。

Shizen Connectはこれまで、大手企業や自治体と連携しながら、VPPやエネルギーマネジメントに関する実証・導入を積み重ねてきました。

つまり、評価されていたのは「未来の構想」だけではありません。

その未来を現実へ近づけるための実績だったのです。

大企業は、なぜShizen Connectと組むのか

ここで、もう一つ疑問が浮かびました。

東京ガスやJERAほどの企業であれば、自社で同じようなシステムを開発できるのではないか。私も最初はそう考えていました。もちろん、技術的には可能かもしれません。

しかし、大企業にとって重要なのは、「作れるか」ではなく、「自社で作るべきか」です。

例えば、自動車メーカーが会計ソフトを自社開発しないように、それぞれの企業には集中すべき専門領域があります。発電所の運営と、メーカーごとに異なる設備をリアルタイムで制御するソフトウェアの開発は、求められる知見が大きく異なります。

だからこそ、大企業はすべてを自社で抱え込むのではなく、専門性を持つ企業と協業するという選択をします。

今回の出資も、「競争相手への投資」というより、次世代の電力インフラを共につくるパートナーへの投資と考えるほうが自然なのではないでしょうか。

資金調達の背景には「産業構造の変化」がある

資金調達のニュースを見ると、「○○社が○億円を調達した」という数字が最初に目に入ります。もちろん、その金額も重要です。

しかし、本当に面白いのは、その背景です。

  • なぜ、その会社だったのか。
  • なぜ、そのタイミングだったのか。
  • そして、なぜ投資家は、その市場に可能性を感じたのか。

その理由をたどっていくと、一社の成長だけではなく、産業全体が変わろうとしている姿が見えてきます。今回のShizen Connectも、その一例でした。

27億円という資金調達は、一社のニュースであると同時に、日本の電力インフラが新しい時代へ進み始めていることを示す出来事だったのです。

Fundrive編集部の考察

この記事を書く前の私は、「27億円調達」という数字だけを見ていました。でも調べていくと、印象に残ったのは金額ではありません。

「電力不足なら発電所を増やせばいい。」そんな当たり前だと思っていた考え方が、少しずつ変わっていったことです。

資金調達のニュースは、企業の成長を伝えるニュースとして受け取られることが少なくありません。

しかし、その背景をたどっていくと、企業だけではなく、産業や社会そのものが変わろうとしている姿が見えてくることがあります。

Fundriveでは、これからも資金調達のニュースを通して、「なぜ、この会社に資金が集まったのか」という問いの先にある、社会の変化まで伝えていきたいと思います。

Shizen Connectについてもっと知りたい方へ

私自身、今回Shizen Connectについて調べるまでは、「VPP(仮想発電所)を手掛けるスタートアップ」という程度の認識しかありませんでした。

しかし、その背景を追っていくと見えてきたのは、一社の成長ではなく、日本の電力インフラそのものが変わろうとしている姿でした。

発電所を増やすだけではなく、全国にある太陽光発電や蓄電池、EVなどをつなぎ、社会全体でエネルギーを最適に活用する。その考え方は、これからの社会を考えるうえで欠かせない視点になっていくのかもしれません。

興味を持たれた方は、ぜひ公式サイトやプレスリリースもご覧ください。事業内容だけでなく、同社が描く未来や社会実装への取り組みを、より詳しく知ることができます。

もっと知りたい方はこちら

  • Shizen Connect 公式サイト
  • サービス紹介(VPP・エネルギーマネジメント)
  • シリーズA資金調達プレスリリース
上部へスクロール